電網見聞録

既知との遭遇でしたらすみません

死印の感想みたいなものについて

 2017年6月1日にPlayStation Vitaで発売され、2018年6月28日にニンテンドーSwitchに移植され、2021年8月6日からプレイをはじめた。ここに至るまで約……なんて話はさておき本題に入ろう。この記事を書くにおいて、ネタバレは勿論、画像も無しで行こうかと考えている。単純に、興味を持ってくれた人がワクワクを失わないためである。気になった方はリンクを貼っておいたのでチェックしてみてはいかがだろうか。

shiin.jp

 

東京都H市、この郊外都市に最近奇妙な噂話が広がっていた。

シルシを持つ者は死ぬ──

突如体にまるで噛まれたような痣 シルシ が刻まれ、
原因不明の死を遂げるというものだ。

事実この町では、人が謎の不審死を遂げる
怪奇事件が発生していた。
この事件は都市伝説的に、どこかで幽霊に遭遇したせいだ、
知らぬ間に呪いに祟られるようなことをした、
などと様々な憶測を元に広まっていった。

記憶を失ったあなたは、シルシ を持つ者を保護するという洋館の前にいた。
何かに引き寄せられるように洋館の扉を開くと、そこで美しい人形に出会う。

「ようこそ、九条館へ──」

続けて人形は語る。
「このままでは、あなたは死にます」
「ただ、助かる方法がない訳ではない」

“死” へのカウントダウンはすでに始まっていた…

  物語の冒頭はこんな感じではじまっていく。“シルシ”を消すために主人公は都市伝説に立ち向かっていき、その途中で同じように“シルシ”の刻まれてしまった人達と協力して怪奇事件を解決していく。章立てで物語は進み、怪異が誕生した経緯や弱点などを心霊スポットから探し出していくというのが大雑把な流れである。

 

 

 さて、ここからはオレの感想である。ジャンルは『都市伝説・心霊アドベンチャー』となっているように、ヒントを集めて謎を解き、事件を解決していく。しかし、アドベンチャーゲーム特有の“紙芝居感”よりもRPGっぽさが全面的に押し出されているように感じた。BGMもそうだが、和風ホラーの世界観をとても上手く表現していて、都市伝説の舞台、謂わば心霊スポットの調査はとても怖ろしかった。特に霊障や霊体の表現は、懐中電灯でエリアを隅々まで探索しないとアイテムやヒントを見つけられないシステムとマッチしていた。同行者のキャラクターも章ごとに入れ替わり、どのキャラクターも個性的で愉快である。

 しかし、シナリオのボリューム不足感やキャラクターの表情パターンの少なさも気になるし、選択ミスで即ゲームオーバーの“デッドリーチョイス”も特定のキャラを連れていないとヒントすらなかったので総当たり戦みたいになる部分も気になった。他にも特定のキャラを連れていると攻略出来なかったり、“調べる”と“探る”のコマンドが別だったり、探索のエリア移動が地味にやりにくかったり、“怪異”との対峙で適切なアイテムを選んで行動するのだけれども、傍から見たらシュールすぎる行動が正解だったり……といったシステム面の粗さをホラーゲームの不自由さと捉えるべきか悩んだ。

 シナリオ面では、同じ施設に怪異が複数いるのは何故?とか理由がちょっと無理やりな部分も少しあったけども、ホラーは雰囲気を楽しむものだとオレは考えているので、あまり触れないようにしている。あとは、用語集や世界観やキャラクターを深く掘り下げるシステムや、エンディング後に各章の分岐の所から再開出来るみたいなシステムがあれば、選ばなかった選択肢を見て一層ハマれたのかもしれない。かなりマイナス面を書いてしまったけども、基本的にゲーム自体は楽しかったし、純粋なホラー系のジャンルが減っている昨今に珍しさを感じた。それと同時に過去に賞賛されたホラー作品をプレイして、比べてみたいという気持ちも多少ある。(苦手なジャンルだけども)

 そしてこれは余談だけれども、死んだ時のテキストが少ないのでシャドウゲイトとまでは言わないけど、もう少し欲しかったかもしれない。